氏名: 黒﨑 知博

所属:
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター
理化学研究所 生命医科学研究センター

テーマ:
免疫記憶を支えるリンパ球

第1部: 10:20 - 10:40

COVID-19の猛威は記憶に新しいところです。残念ながら多くの方々が命を落とすことになりましたが、迅速なワクチン開発がなければ、もっと数倍、いや数十倍の方々の命が失われていたでしょう。ワクチンというのは、いわゆる、免疫記憶という、私たちの体の学習能力を利用した予防法ですが、現在どこまで、免疫記憶の仕組みがわかってきたのか、又、次なる解かねばいけない謎・チャレンジを考えていきましょう。

氏名: 齊藤 隆

所属:
理化学研究所 生命医科学研究センター

テーマ:
免疫細胞が外敵を見つけて闘うしくみ

第1部: 10:40 - 11:00

免疫の中心を担うT細胞は、感染した細菌やがん細胞などの敵を見つけて、排除するために闘います。実際は敵のほんの一部分(ペプチド)を認識して攻撃します。戦いの沈静化も他のT細胞（抑制細胞）が担っています。外敵の攻撃が長期にわたるとT細胞も疲れて戦えなくなります。オプジーボなどの抗体は、この疲れを治して免疫を回復させることができ、がん治療などに応用されています。

氏名: 上野 英樹

所属:
京都大学 大学院医学研究科 免疫細胞生物学

テーマ:
免疫は覚えている。何年も何十年もずーーーっと長く。

第1部: 11:00 - 11:20

新型コロナウイルスのような感染症にかかったときにからだを治してくれるのが免疫です。この免疫は実はずーーーっと長くどの感染症にかかったのかを覚えていて、次に同じウイルスが来た時には感染を防いでくれたり、病気が重くなるのを防いでくれます。じゃなぜ毎年かぜやインフルエンザにかかるの？私コロナに2回かかったのはなぜ？この不思議についてもお話ししましょう。

氏名: 大石 由美子

所属:
東京医科歯科大学 医歯学総合研究科 病態代謝解析学

テーマ:
怪人百面相？ マクロファージの多彩な機能

第1部: 11:20 - 11:40

マクロファージという免疫細胞（白血球のひとつ）がいます。死んだ細胞や病原体を貪食する細胞として19世紀末に発見されたマクロファージは、予想を超えて実に多彩な機能をもち、個体の発生やけがをした組織の修復、肥満や「がん」などの病態形成にも重要な役割を果たすことが分かってきました。マクロファージの機能を調節して、病気を防ぐことができるようになるかもしれませんよ。一緒に考えてみましょう。

氏名: 小松 紀子

所属:
東京大学大学院 医学系研究科

テーマ:
骨をこわす免疫のしくみ

第2部: 13:00 - 13:20

骨は体をささえたり、生きるために大切なミネラルをたくわえるだけでなく、免疫細胞をうみだすなど免疫系と深いつながりのある臓器です。 関節リウマチや歯周炎などの病気では炎症＝免疫系の活性化によって骨がこわれます。このトークでは免疫系がどのように、そしてなぜ骨をこわすのか？というふしぎについて最近の研究成果を交えて解説します。

氏名: 橋本 求

所属:
大阪公立大学 膠原病内科学

テーマ:
関節リウマチと戦う免疫学

第2部: 13:20 - 13:40

関節リウマチという病気は、本来体を守るためにある免疫システムが、自己の関節組織を攻撃してしまうことによって起こります。数十年前までは有効な治療法がありませんでしたが、近年、画期的な治療法がみつかって病気の進行を食い止めることができるようになってきました。リウマチという病気の仕組みについて、何が分かって治療につながったのか、免疫学の勝利の理由をご紹介します。

氏名: 茂呂 和世

所属:
大阪大学 医学系研究科 生体防御学教室

テーマ:
どうしてアレルギーになるの？

第2部: 13:40 - 14:00

戦後、急速に増加したアレルギーですが、わたしたちの体の中で何が起きているのでしょうか。アレルギーがおこるしくみを一緒に考えてみませんか？この１０年で様々な新薬が開発され、アレルギー症状を劇的にコントロールすることができるようになりましたが、残念ながらまだアレルギーを完全に治す薬はありません。研究者たちがどのようにアレルギーの根絶を目指しているかをご紹介します。

氏名: 平原 潔

所属:
千葉大学大学院 医学研究院 免疫発生学

テーマ:
アレルギーを引き起こす“悪い”免疫記憶って何？

第2部: 14:00 - 14:20

免疫が病気を記憶する「免疫記憶」は、新型コロナウイルスをはじめとするバイキンに対するワクチンに広く利用されています。一方で、アレルギーなどの病気の原因となる「免疫記憶」があることもわかってきました。今回は、このアレルギーなどの病気を引き起こす“悪い”「免疫記憶」について、わかりやすく解説します。

氏名: 七田 崇

所属:
東京医科歯科大学 難治疾患研究所 神経炎症修復学分野

テーマ:
免疫力で脳を治す

第3部: 14:40 - 15:00

免疫力は、体内に侵入した細菌やウイルスを検知し、排除する役割を担っています。体が病気にかかった時にも、免疫力は異常を検知して働きます。最近では、免疫力には脳を治す効果もあることが注目されています。脳の病気は治りにくいことが知られていますが、免疫力は全力で脳を治そうとしていることが分かってきました。今回は、脳と免疫力の関係性についてお話ししたいと思います。

氏名: 眞鍋 一郎

所属:
千葉大学大学院 医学研究院

テーマ:
免疫は心臓も守る

第3部: 15:00 - 15:20

免疫は、感染とは関係のなさそうな心臓でも大事な働きをしています。例えば、心臓にいるマクロファージという免疫細胞は、脳や腎臓からの情報も受け取りながら、心臓を守る大事な役割を持っています。でも場合によっては心臓病を進める働きもします。このような免疫の新しい働きについて説明したいと思います。

氏名: 小林 久隆

所属:
米国国立がん研究所・主任研究員
関西医科大学光免疫医学研究所・所長

テーマ:
がんの光免疫療法の原理；生物学―化学―物理の融合方法

第3部: 15:20 - 15:40

がんの光免疫療法は、選択した細胞を化学の目で見て確実に破壊することを原理としている。破壊を励起するのは化学物質が吸収する光エネルギーである。こうしてがん細胞のみを一気に壊すことは体のがんに対する免疫応答の活性化に合理的である。この講義では、物理、化学、生物学それぞれの特徴とそれぞれを医学として光免疫療法に応用する場合の私の考え方を紹介したい。

氏名: 大野 博司

所属:
理化学研究所

テーマ:
ここまでわかった腸内細菌！

第3部: 15:40 - 16:00

私達の腸の中には40兆個以上の細菌が棲みついています。これは私達自身のからだを作っている細胞より多い数です。この「腸内細菌叢」は私達の健康や病気と大きく関わっていることが細菌の研究からわかってきました。腸内細菌叢の乱れや、腸内細菌が作る物質が病気の原因となったり、逆に病気を抑える腸内細菌も存在することがわかってきており、腸内細菌を制御することで病気の治療や予防にも結びつくと考えられます。